RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務プロセスの自動化を意味します。主にパソコン上で人の手でおこなう作業を、ソフトウェアに搭載されたロボットが代行するシステムです。
RPAを使用して作るシナリオは、近ごろ画像認識を用いて自作できるツールが増えています。作成方法はRPAツールによって特徴がありますので、自分で作ることができるのかツール選定の際に比較してみてください。
RPAは、業務効率化だけでなく人為的なミス防止やコスト削減にも貢献できます。日本でもUiPath(ユーアイパス)をはじめとするサービスがシェアを伸ばしつつあり、導入率も2019年11月時点で38%に達しています。そのほかにもWinActor(ウィンアクター)やRobo-Pat(ロボパット)などの導入事例も増えてきており、RPAは今後さらなる普及が見込まれています。
RPAの活用シーン
一般的に、RPAは手順が決まっている定型作業が向いているとされています。具体的には以下のような作業での導入事例が多く見られます。
- 顧客情報登録作業
- 売上などの計上
- 定型書類作成業務
- 従業員の勤怠実績管理
- 求人情報の管理更新業務
- データから該当データを抽出
- 定型メールの送信
これら以外にも、RPAで作成できるロボットは複雑な業務を覚えさせることができます。そのため、工数が分岐する作業、複数のシステムやアプリケーションを連携させる作業などもまかせることが可能です。
また現在、RPAは事務系業務での導入実績が多いようですが、製造現場においても活用されつつあります。単純な見積もり作業や図面の読み取り作業はもちろん、納期短縮などのイレギュラーが発生した際、原料製造業者ごとの納期前倒し依頼リストの作成などを自動化するといった業務にも活用されています。これにより単純作業に対する時間を削減できるだけでなく、マネジメントサイクルの効率化も目指すことができます。
マクロとは?
マクロとは、複数の操作をまとめ、必要に応じて呼び出せる機能を指します。特にエクセルの自動化で使われることが多く、エクセルマクロと呼ばれることも多いです。マクロはMicrosoft Officeシリーズのアプリケーションに限らず、すべてのコンピュータにおいて共通の用語です。
エクセルマクロの場合、開発タブにある「マクロの記録」をクリックし、「記録終了」とするまでの作業が自動的にプログラムとして生成されます。そうすると、次からは該当のマクロを選んで実行すれば、一連の作業が自動化されます。
マクロの活用シーン
マクロは以下のような場面で活用されています。すでに日々の業務で取り入れている方も多いことでしょう。
- エクセルでのデータ集計、グラフ作成、印刷
- エクセルでのフォーム作成
エクセル VBAとは?
エクセル VBA(Visual Basic for Applications)とは、Microsoft Excelにおいてマクロの操作を記憶するためのプログラミング言語です。VBAは自動化する機能ではなく、言語を指すということに注意してください。
エクセルの場合、マクロが操作を自動化する機能であり、VBAはその操作をプログラム化するための道具にあたります。VBAを理解すればエクセルなどのマクロをカスタマイズできるので、より高度な業務も自動化できます。
エクセルVBAの活用シーン
エクセルVBAは以下のような場面で活用されています。
- エクセルの操作
- エクセルとWEBを連動させた作業(条件分岐の少ない作業)
- WEBページからの情報収集
- メールの自動送信
RPAとエクセルVBAマクロを徹底比較
RPAとエクセルVBA、マクロの違いを見てきました。それでは、自社や部署のどんな業務をRPAに任せられるのかという疑問にお答えしましょう。また、RPAに任せられない業務でも、「エクセルVBAとマクロ、どっちを使えばいいの?」と迷われることがあるかと思われますので、どのようなポイントを見極めてツールを使えばよいかをお伝えします。
こんな業務はRPAを使う
RPAに向いている業務は、複数のアプリケーションやツールを使用したり、複雑な分岐があったりと複雑な工程でありながら作業自体は単純で決まりきっているというものです。
こんな業務はマクロを使う
自動化したい作業がエクセルのシート内のみで完結し、なおかつ比較的単純な作業であればあれば、マクロを用いるのが効率的です。
こんな業務はエクセルVBAを使う
エクセルVBAは、その名の通りエクセルを効率的に活用するためのものですが、エクセルの操作以外のことにも活用できます。最大の特徴はIEなどのインターネットブラウザやアプリケーションの操作が可能であることです。これらの特徴から、エクセルとWEB(WEBサービスやメール)、エクセルと他のアプリケーションを連携した単純作業の自動化に向いています。
どう使い分け・併用するのがベスト?
それでは、「膨大なデータを用いる業務などをエクセルで管理しているが、効率化できるならマクロやVBAを使用するのではなくRPAに任せたい」「今までエクセルで行ってきた単純作業は、全てRPAに任せたい」と考える場合はどうすればよいのでしょうか?
ここで理解していただきたいのは、RPAはあくまでも「自動化」に特化したツールであることです。そのため、全ての単純業務をRPAに置き換えられるわけではありません。つまり、RPAを導入したとしても他の業務アプリやソフトウェアが不要になるというわけではないことです。
特に、現在エクセルで管理しているデータをRPAで処理することは難しいことなのです。なぜなら、エクセルは数式を利用してデータを演算処理していることが多いと思われます。数式による演算処理をRPAで代替する場合には、一つ一つの演算作業をロボットに覚えさせなければならないので、大きな負荷がかかります。
そこで、RPAを導入する際には業務の棚卸しを行い、会社や部署の事情やコストを考慮しながらRPAに任せるのか、マクロやVBAを利用するのかを判断する必要があります。判断に迷うという場合には、実際にトライアル利用をしたりフリーソフトやクラウド型(フリーで使える部分が多い)のRPAを利用してみた上で判断するという方法もあります。
このように、RPAを導入した場合でもマクロやVBAを併用する、つまり複数のアプリやソフトウェアやツールを組み合わせて利用することが、効率的な業務改善につながります。
RPAを導入するためには、プログラミングの知識があった方がよい
RPAの導入に関しては、担当者の方にとって不明点が数多くあるかと思います。その中でも大きな疑問は、「RPAを導入するためにはプログラミングの知識があった方がよいのか?」というものではないでしょうか。
いくつかのセミナーやサービスでは、「RPAの導入にはプログラミングの知識は不要」とうたっているものもあります。しかし、当社はRPAを利用するにあたってはプログラミングの知識は「あった方がよい」と考えています。
その理由は、ロボットの開発や運用、保守メンテナンスを行うためにはプログラミングの知識があるとスムーズに行うことができるからです。特に、ロボットの作り方や保守メンテナンスの工程にはプログラミングと共通する考え方や手法が数多くありますので、プログラミングの知識があると理解しやすいといえます。
プログラミングができる人材が不足しているけれどもRPAを導入したい、という場合は運用支援サービスやサポート体制が充実したRPAサービスを選ぶとよいでしょう。また、それと並行してプログラミング知識のある人材を確保したり社内で勉強会を開いて勉強方法をシェアしたり、RPAの資格である「RPA技術者検定」の取得を支援したりと、社内のRPAナレッジを蓄積していきましょう。
RPA、エクセルVBA、マクロの違いまとめ
RPA、エクセルVBA、マクロは「手順どおりに繰り返す業務を機械によって自動化する」という点では似通っています。しかし、「工程が複雑か単純か」「複数のアプリケーションやツールを使うか」という違いによって使い分けることで、より効率的に業務改善を図ることができます。
複雑な工程であり、複数のツールを使う作業を自動化するには、RPAは最適です。しかし、導入にあたってプログラミング知識があった方がスムーズ(言い換えると、プログラミング人材が乏しい状況では導入や運用が難しいケースもある)なので、ただ導入するだけではなく人材の確保や社内体制の確立などが求められます。
RPAの導入は単純なものではありませんが、得られるメリットは大きなものがあります。不安がある場合には支援サービスを利用しながら導入を検討してはいかがでしょうか。