RPAツールの仕組みと特徴
まずはRPAとその他のツールについて整理しましょう。
RPAとAIの違い
ITにおけるRPAとAIの大きな違いとしては学習機能の有無がポイントになります。AIは思考を備えて自ら業務改善できるツールだとイメージしてください。一方RPAは人が指示した業務を反復するツールです。RPAは業務実行のためのツールであり、具体的な業務は人が棚卸し・洗い出しを行う必要があります。
AIは使用し続けることで精度を増す点がメリットであり、RPAは対象業務を簡単に自動化できる点がメリットです。また、現段階(2020年)ではAI導入の実例や補助金・助成金対象となるようなPoCよりも、RPAの導入事例のほうが各業界ともに多い状態です。
RPAツールの特徴
また、RPAにはEPAとCAというより高度な業務処理が可能な段階が存在します。それぞれにできることを比較すると下記のような形になります。
RPA |
定型業務を自動化する。反復業務に適している。 |
EPA |
定型業務の処理を通じてデータを収集し、そのデータも活用しながら業務を自動化する。 |
CA |
定型業務の処理に付随する対応を自ら判断し、実行する。いくつかの選択肢から適した選択をする。 |
※ERAとCAはAIが搭載されているあるいは、AIとして認識されます。
RPAツール導入前に知っておきたい基礎知識
RPAツール導入の失敗事例
RPA導入で失敗する事例には大きくわけて下記3つの原因があります。
・導入前の業務可視化が不十分だった。
・導入決定者と導入現場に温度感があり、好意的に受け入れてもらえない。
・導入後、運用とメンテナンスがうまくいかない。
RPA導入後、上記のような事態に陥らないために、RPAの導入を進める際には次の「RPAツールの導入手順」を参考にしてください。
RPAツールの得意な業務内容
RPAとは、人の業務を支援するツールです。得意とする業務は単純作業や反復作業といった手順が決まっている業務です。思考して選択・決定する業務はRPAとは切り離し、人が対応すべき業務だと考えてください。どのような場合に人が対応し、どのような場合にRPAが対応するのかを明確にすることも、RPA導入の成功率向上に必要です。
RPAツールの導入手順
ここからRPAツール導入の具体的な手順について説明します。
全体の計画を立てる
まずは全体の計画を考えます。企業にとってRPA導入には大きなコストがかかるものですので、できるだけ具体的に業務を想定し、計画することが重要です。適応業務や課題、見込める効果、導入プロセス、ツール選択など、本当にコストをかけて導入する必要があるのか、導入後のメリットがあるかを明らかにしていきましょう。
社内の推進体制を整える
導入が決定したら、社内の体制を整えることが重要です。この整理ができていない場合、導入後に現場で使われないツールとなってしまう恐れがあります。RPA導入時には実際の使用者となる現場も巻き込む進め方をすることで失敗を回避することができるでしょう。
効果シュミレーションを行う
RPAは導入して終わりのツールではありません。長期的に業務効率化に活用するものだからこそコストに見合う効果が得られるのか、課題を解決できるのかを検証する必要があります。導入しようとするRPAでできることが自社の業務や期待する効果にフィットしているかを慎重に判断しましょう。
小さい規模で試してみる
RPA導入時、より具体的な効果を見て判断したい場合は、小さな規模で導入し、試してみる方法があります。導入決定後、いきなり全社展開するのではなく、まずは部分的な業務に導入し、活用方法や導入プロセス、運用手順、そして効果とコストのバランスを検証しましょう。
実際に導入
RPAが自社の業務に適しているとわかれば、本導入へと移ります。関係各所に活用方法や導入プロセス、運用手順を展開し、課題業務を自動化します。導入後も業務効率化のために、企業全体でRPA活用を推進しましょう。
ツールを比較する際の3つのポイント
RPAの導入を検討する際にはツール選びに迷うことがあります。ツール選びの進め方のポイントについてまとめます。
比較ポイント1 運用コスト
まずは運用コストを比較します。自社でRPAツールにかけられるコストを具体的に算出し、そのコストで運用できるツールに絞りましょう。費用面は企業にとって無視できない問題ですので、コストの明確化が重要です。
比較ポイント2 ロボの作りやすさ
次に運用面についてです。RPA導入後、操作が難しくて業務に使えないという失敗は回避したいものです。導入後に使用者となるメンバーが簡単に使えるかどうかというポイントも検討してください。
比較ポイント3 サポート
さらに導入後の失敗をカバーする方法として、サポートサービスが充実しているかというポイントがあります。RPAにできることや運用の方法を丁寧に教えてくれるサービスがあるツールを選ぶことも大切です。
まとめ
今回はRPAツールを導入する方法や導入プロセスを解説しました。RPAは多くの企業にとって初めて導入するツールであり、進め方を誤ったために失敗したという事例も少なくありません。一方でRPAツールは小売からコンサル、自治体まで、様々な業界・企業で導入・活用されています。RPAを導入する際にはコストに見合った効果を得られるように、今回紹介した導入方法を参考にしてみてください。
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番外編 導入事例紹介
最後にRPAツールの導入事例について、2020年1月に株式会社MM総研が発表した統計データを紹介します。まず、注目したいのは「RPA導入率推移」のグラフです。

<出典>https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=391
上記グラフの通り、全体としてRPAの導入率が高まっています。大手企業のRPA導入率は51%で、今後は中小企業についても導入率が高まってくるでしょう。
次に「大手企業におけるRPAブランド別の浸透率」のグラフです。

https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=391
大手企業でのRPAツール別の浸透率はUiPath、Bizrobo、WinActorが上位3ツールとなっています。より多くの企業に導入されているRPAツールというポイントも、失敗しないRPAツール選びの1つの基準となるでしょう。
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