Robo-Pat導入前の課題
―御社の事業内容と、Robo-Pat導入前の課題について教えてください
松本様:当社はオンライン広告代理店として、主に中小企業や地方企業を中心にインターネットに関する代理店業務を行っております。クライアントのニーズや状況に応じてリスティング広告やYouTubeやFacebook、LINEのパッケージ広告など広告媒体の選定や、媒体に合わせた動画制作を行っています。営業から運用、分析までを一人の担当者が行う専任制で、予算を含むクライアントニーズにタイムリーに対応できる点が強みです。
Robo-Pat導入前は、営業部門も私が所属している管理部門でも同じように転記作業が発生し、誰しもが持つ定型的な作業を効率化できないか、ロボットに業務を行わせて業務負担を軽減できないか、と当社代表の山本が考えておりました。
RPAの比較
―RPAツールの比較はどのようにして行いましたか?
松本様:まずRPAの検討を始めるにあたって、インターネットで検索を行ったところ、英語のRPAが無料で使えることを知って実際にダウンロードしてみました。英語は問題なかったのですが、かなり使い勝手が悪く、エンジニアでなければ使えないな、と感じました。
セミナーに参加してRobo-Patの事を知り、他にもWinActorの検討も行いました。当社のIT担当者と話をして、画像認識によるロボット作成ができるRobo-Patの方が使いやすそう、と話したことが印象に残っています。
Robo-Pat導入の決め手
―RPAツールの中でもRobo-Patを選んだ理由は何ですか?
松本様:Robo-Patは、画像認識でロボットを作成できる点と、インターフェースが好印象でした。エンジニアに頼るのではなく、アイコンによる操作で自分が行いたい作業が直感的に分かる点も使いやすそうだと感じました。また、コストも他のRPAに比べて低額で、導入しやすかったのも決め手です。
導入前の社内勉強会について
―本格的に導入する前に社内勉強会を行った背景を教えてください
松本様:結局のところ、RPAを導入しても使ってくれないと導入した意味がなくなってしまうので、使える人を教育しなければならない、と私自身強く感じました。そこで各部から2名ずつ人を選抜して、スペシャリストを育成し、その人たちを中心に社内でRPAを広めて行ってもらおうと考えました。ただ、管理部だけは人事、経理、総務と個々の仕事の内容が全く異なっていたので全員参加を必須にさせ、全社から約20名の人材が集まりました。
―社内勉強会当日の様子はいかがでしたか?
松本様:当日はスターティアレイズの営業の方に来社頂き、当社社員20名の前でRobo-Patの概要や操作方法などを説明してもらいました。当社で集めたメンバーのITリテラシーが高かったのか、思った以上に吸収が早かったです。
本来であれば勉強会は1回3時間という決まりがあったのですが、人は1回触っただけですと忘れて使わなくなってしまうと思ったので、1.5時間の勉強会を2回実施頂けないか、というのに加え、1回目の勉強会の最後には宿題のようなものも出してほしい、とお願いをしました。1回の勉強会よりも2回の方がRobo-Patに触れている時間も期間も長くなるので、落とし込みができたと思います。
トライアル時期について
―1か月間のトライアル期間中には、いくつのロボットを作成しましたか?
松本様:管理部門では社内勉強会の最中と業務時間外を利用して2つのロボットを作成してくれた人がいました。そのうちの1つは、請求書の作成に必要な企業情報をインターネットから取ってくるような単純な作業です。単純な作業でも数が多いので毎月多くの時間をこの作業に費やしていました。
那須様:営業部門ではロボットでも行えそうな業務が多いので、私が2つ、同じ部署の者がもう2つ作成しました。
私が作成したロボットは、営業がテレアポをする際に、同じ会社に電話をしないためのチェックを行うものです。私のチーム内から活用し始めてみたのですが、このロボットのお陰で1日の営業活動がしやすくなったという声ももらいました。
同じ部署の者が作成したロボットは、お客様へのレポートを自動作成するものです。レポートを各媒体のアカウントからダウンロードして貼り付ける作業になるのですが、これまで全て手動で行っていたものを全て自動化させることができました。
導入後の効果
―Robo-Patを本格的に導入したあとの効果について教えてください
那須様:営業部門で作成し活用しているテレアポ先のチェックリストについては、1人あたりの作業時間が毎日30分~1時間削減できています。レポートの作成時間については30分かけていたのが0になったので、効果としてはかなり大きいです。
営業部全体では新卒30名も合わせて現在約100名弱の社員がいるのですが、単純計算で1日100時間分の業務時間が削減できています。
―ロボット作りで苦労した点などはありますか?
那須様:度々ここはどうしたらいいのかな、ここはさすがにロボット化できないかな、ということは発生しました。
その場合は社内にいるものと相談をして、エクセルの表計算を利用したり、他のツールとうまく組み合わせたりしてできるんじゃないか、という相談をしながら解決できたものもありました。
どうしても社内で利用しているツールの権限上ロボット化ができそうにない場合は、役員の者と相談をして、ある部分まで役員の方で作業してもらい、そこから先はロボットで使えるように調整をして役員を巻き込んでRPAの活用を行ってきました。
テレワークでのRPAの活用について
―テレワーク時にもRobo-Patが活躍しているそうですね?
那須様:はい。弊社の場合、セキュリティ的にVPN接続を全社員が利用できるようにはしていなかったので、社内でしかできない作業をどうしようか、という課題がありました。当初は出社している人に作業を負担してもらおうという話も上がっていたのですが、ロボットがあることによってテレワークでも問題無くスムーズに営業できる環境ができました。『まさかテレワークでロボットがこんなにも活躍するとは思っていなかったね』と社内でも話していました。
―テレワークを始める際に、ロボットを調整したり準備したことはありましたか?
那須様:社内でしかできない作業をメンバーで話し合って、これはロボットを作成しておいたほうが良い、となった業務に関してはテレワークになる2,3日前に私がロボットを作成しました。複数のロボットが稼働しているので、タスクスケジューラーで時間の割り振りを行い、ロボットが動く時間を重複しないように調整しました。
今後の展望について
―これからのRPA活用の展望をお聞かせください
那須様:私の頭の中にはロボット化したい業務がいくつかあるのですが、作成が少々大変そうで、他の社員と協力してみんなでロボットを作りたいと考えています。ただ、ロボットを作成できる人が限られてしまっているので、社員全体のRPAに対するリテラシーを上げていきたいと思っています。
既に2回ほど社内勉強会は実施しておりますが、徐々に浸透させる必要があると思っているので社内全体にRPAを広めていきたいです。
松本様:私も同じように社員のリテラシーを高めていきたいと思っています。
人によってはRPAのスペシャリストの域に入っている人もいるのですが、その人たちも他の業務を抱えているので一人ひとりがRPAを触れるようになってほしいと思っています。
特に、RPAを触れるスキルだけではなく、この業務がRPA化できる、と業務を選定するセンスも磨かなければいけないと考えています。誰しもが定型的な業務、単純作業といわれるものを持っているはずなのですが、そこに気づけるかどうかというのはRPAを浸透させるための分かれ道だと思っています。