AI・ロボットに任せる仕事と人間が行う仕事

AIやロボットは近年著しい進化を遂げており、すでにさまざまな分野で活用が始まっています。これまでは工場作業のような特定の分野で使われるものという認識が強いものでしたが、RPAやOCRといったツールの登場により、ホワイトカラーのビジネスパーソンにもなじみ深いものとなりました。 その一方で、数年前から「AIやロボットが発達したら、人間の仕事がなくなる・奪われる」との主張を耳にするようになりました。これは研究に基づいたものであることから精度の高い情報と捉えられ、大きな話題になりました。 それでは、AIやロボットが発達したら、人間の仕事は本当に奪われてしまうのでしょうか?今回はこの説の真相やAI・ロボットにとって代替される可能性の高い仕事とそうでない仕事、またAI・ロボット時代に人間はどうするべきかをご紹介します。

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    AIやロボットは近年著しい進化を遂げており、すでにさまざまな分野で活用が始まっています。これまでは工場作業のような特定の分野で使われるものという認識が強いものでしたが、RPAやOCRといったツールの登場により、ホワイトカラーのビジネスパーソンにもなじみ深いものとなりました。

    その一方で、数年前から「AIやロボットが発達したら、人間の仕事がなくなる・奪われる」との主張を耳にするようになりました。これは研究に基づいたものであることから精度の高い情報と捉えられ、大きな話題になりました。

    それでは、AIやロボットが発達したら、人間の仕事は本当に奪われてしまうのでしょうか?今回はこの説の真相やAI・ロボットにとって代替される可能性の高い仕事とそうでない仕事、またAI・ロボット時代に人間はどうするべきかをご紹介します。

    AI・ロボットによって50%の仕事がなくなるといわれている

    少し前の話ですが、2015年に日本の野村総合研究所とイギリス・オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究の結果が発表され、話題になりました。

    どんな内容かというと、日本国内の601種類の職業について、それぞれ人工知能AIやロボットなどで代替される確率を試算したものです。それによると、この時点から約10年後から20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業について、AIやロボットが置き換わることができると分かったというものです。ということは、2030年前後には今ある仕事の半分がなくなることを意味します。 このことは、「AIやロボットによって、2030年には今ある50%の仕事がなくなる」として話題になりました。

    ここで、AI(Artificial Intelligence、「人工知能」の意味)とはどんなものかを確認しておきましょう。なんとなく、AIとは人間のような動きをするものを想像していませんでしょうか?日本人工知能学会の説明によると、これはある意味では正しく、ある意味では間違っているそうです。 なぜなら、人工知能の研究には二つの立場があり、一つは人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとするもの、もう一つは人間が知能を使ってすることを機械にさせようとするものです。そして、実際のAIは研究のほとんどは後者の立場にたっているそうです。

    それでは、AIの研究とはどんなことをしているのでしょうか。AIは「学習」を繰り返すことによって「推論」を得ています。ここでいう学習とは情報から将来使えそうな知識を見つけることを、推論とは知識をもとに新しい結論を得ることを意味します。 具体的には、特定の行為のプロセスや決定にいたるまでに必要な情報を大量にAIに読み込ませます。すると、AIはこれらの情報から一定の規則や判断に必要なプロセスを自動的に学習します。この行為を「ディープラーニング(deep lerning、深層学習)」と呼ぶこともあります。このディープラーニングを行うことが、AIの最大の特徴の一つです。

    AIはディープラーニングを大量にすばやく正確にこなします。これにより、人間が学習や経験を繰り返して身につけてきたプロセスを素早く自律的に学習するのです。そのため、いずれは特定の職業や専門職の人が行っている業務を自主的に学習し、行えると考えられています。これが、AIによって仕事がなくなると呼ばれている理由です。AIは導入すれば24時間稼働できるため、人とは違い採用や育成のコストはかかりません。すでにさまざまな分野でAIが導入され、成果を挙げています。

    ロボットは、2つの意味を持つ用語です。1つは産業用ロボットや掃除ロボットに代表されるような、ある機能を自動的に行う機械装置です。もう1つはアニメや映画の世界でもおなじみの人や動物の形に近い機械装置です。ここでは前者について言及します。

    それでは、AIとロボットの違いはどのようなものでしょうか。AIは判断や行動ののための基準やプロセスを、インプットされた情報から自動的に学習します。それに対してロボットは、あらかじめプログラミングされた内容にしたがって行動するものです。そのため、AIとロボットを比べると、ロボットの方は限定的な業務を行う装置、AIはある程度人間の思考や判断に近いことができるものと捉えられます。

    AI・ロボットが代替できる仕事

    先ほど野村総研とオックスフォード大学の共同研究の結果をご紹介した際、「AI・ロボットによって50%の仕事がなくなると言われている」と述べました。ということは、AIやロボットが代替できる仕事とそうでない仕事が存在することになります。ここからはこの2つの仕事や、なぜAIやロボットが代替できるのか(あるいはできないのか)を解説します。

    一般事務

    現在企業における一般事務とは、パソコンを用いてソフトやアプリケーションに情報を入力し、記録・管理したり、それらをアウトプット・加工して利用するといったものがほとんどです。この仕事はAIやロボットにとって代替されると考えられます。

    その理由については、ほとんどの一般事務にはマニュアルが整備されており、プロセスがはっきりしていることから、ロボットに任せやすいことが考えられます。また、AIやロボットは処理能力や正確性の高さを特徴としています。人間のようにヒューマンエラーを起こす可能性はほとんどありません。ただ、AIにインプットされた情報に誤りがある、ロボットのプログラム内容にエラーがあるなどの場合には間違った内容をアウトプットすることがあります。

    そうでない場合には、AIやロボットは人間が行うより遥かに正確で、時間がかからず、ミスの少ない業務遂行能力を持っています。そのため、一般事務は人間が行う仕事ではなくなる可能性が高いといえます。実際、RPAやOCRなどのツールがすでに業界や企業の規模を問わずさまざまな会社に導入され、業務時間の短縮やミスの削減などの大きな成果を挙げています。

    ホテルのフロント

    ホテルのフロント業務は、宿泊客のチェックイン・チェックアウトまた応対業務などを行う職種です。チェックイン・チェックアウトは確認すべき項目が決まっており、マニュアル化しやすい業務です。つまり、AIやロボットで代替しやすいのです。また、宿泊客の応対でよく聞かれる内容はある程度決まっているため、AIやロボット、またチャットボットなどで代替しやすいといえます。

    チャットボットとはおしゃべり(チャット)をボットが行う仕組みです。ボットとは一定の規則に従って反応する仕組みを指します。この仕組みはすでにFAQの自動応答などで活用されています。すでに顧客から寄せられた質問や照会を蓄積し、顧客から同じ内容の質問や照会があると自動的に回答するものです。すでにサービス業や小売業などで活用されています。

    また、すでにロボットがフロント業務を行っているホテルも存在します。長崎県にあるアミューズメントパーク・ハウステンボスに隣接する「変なホテル」はフロントにいるロボットがチェックイン・チェックアウト業務を担い、クローク業務をアームロボットが行うなどユニークな接客が話題を呼び、国内外からたくさんの観光客が訪れる人気観光地の一つとなりました。また、全国にチェーン展開する「アパホテル」は自動チェックインサービスを行っており、これを利用した宿泊客は一定の宿泊額が返金されるなどのインセンティブを設けています。

    このように、ホテルのフロント業務はすでにAIやロボットが活躍しています。この傾向は今後も加速していくと考えられ、ゆくゆくはホテルのフロントパーソンはいなくなるのではないかと考えられています。

    銀行員

    2018年にリクルートキャリアが大学生を対象に行った調査によると、「人工知能の発達により、なくなる可能性のある職業」を意識した就職先として最も回答数の多かった業界は銀行でした。

    これよりはるか前の1994年、マイクロソフト社の創設者であるビル・ゲイツ氏は、「将来、銀行はなくなる」と発言しています。当時、この発言を真剣に捉える人はあまりいませんでしたが、現在これは現実になりつつあります。それを可能とするのは、フィンテック化とキャッシュレス化です。

    フィンテックとは、「ファイナンス(金融)」と「テクノロジー(技術)」をかけ合わせた造語で、一般的にはITを活用した新しい金融サービスを指します。具体的には、資産運用の相談をAIが行うことなどが挙げられます。また、オンラインショッピングの決済サービスを銀行やクレジットカード会社ではなくEC事業者が行うなど、異業種(主にIT企業)からの金融業界への参入もフィンテックと呼ばれます。

    キャッシュレス化は金銭の支払いや送金の際に、実際にお金を受け渡すのではなくクレジットカードや電子決済を用いることを指します。日本は現金思考が強い国であり、先進国の中でもキャッシュレス化が遅れていることが長年指摘されていました。しかし、インバウンド需要によってキャッシュレス化の進んだ欧米や中国からの観光客が増加し、彼らに対応すべくキャッシュレスに対応する事業者が大幅に増加しました。

    また2019年に消費税が増税された際、景気悪化対策の一つとしてキャッシュレスでの支払いに関してはポイント還元を行う施策があったことから、日本人の中でもキャッシュレス決済に対する抵抗感は薄らいだと考えられます。

    AIは膨大なデータから事象を分析することに優れています。また複雑な数字の計算はAIの得意分野であり、人間が行うよりミスが少ないのです。すでに新卒採用の人数を抑え、その代わりにAIやロボットを導入している銀行も増えています。メガバンクだけでなく、地方銀行にもこの動きが広まっています。

    警備員

    警備員は公共空間や企業、一般家庭を警備し、アラートがあった際に駆けつけ、安全を守る業務を行っています。このサービスを提供する大手である総合警備保障(アルソック)やセコムから、現在警備ロボットが発売され、サービスとして提供されています。

    この警備ロボットには顔認識装置や異常音・ガス・火災などを検知する仕組みが備わっており、スペースを巡回させることで自動的に異常を完治させられます。また、これらの警備機能だけでなく、案内をしてくれる機能が備わっているロボットもあります。実際に、羽田空港ではすでにこのタイプのロボットが導入され、稼働しています。人を雇うのに比べてコストがかからないこと、人間が危険人物に対応しなくて済むことなどがメリットとして考えられます。

    今後はAIがさらに発達し、監視カメラの映像を自動的に解析して不審者を検知するといったことができると考えられています。このような技術が発達すれば、公共スペースや会社、一般家庭を人が警備することは減ってくると予想されます。

    しかし、警備ロボットが酔っぱらいに壊されるといった事件も起きていることから、まだまだ課題の多い分野であることも確かです。

    スーパーやコンビニの店員

    スーパーやコンビニといった小売業は長年人手不足が続く業界のひとつです。これを解消すべく、近年はAIやロボットを導入した取り組みが行われています。

    2020年3月に開業したJR山手線・高輪ゲートウェイ駅構内には、AIを活用した無人決済店舗「TOUCH TO GO」がオープンしています。これはJR東日本とファミリーマートの協同によるもので、カメラやセンサーから取得されるデータ自動解析し、来店客がどんな商品をとってレジに持っていこうとしているのかを分析します。これにより、来客はレジで商品をスキャンすることなく会計ゾーンに立つだけで、自動で商品の明細が表示され、スムーズに決済できます。

    のような仕組みを備えた無人コンビニは、高輪ゲートウェイ駅だけでなく東京の都心のコンビニなどで実証実験が進み、オープンしつつあります。

    スーパーやコンビニの業務はマニュアル化されており、自動化できる可能性の高いものです。また、24時間営業の店舗は人件費や安全のためのコスト、従業員の健康リスクなどさまざまな課題を抱えています。AIやロボットはこれらを解消するための方法でもあります。

    これから無人レジや無人コンビニがさらに増えていけば、スーパーやコンビニ店員の仕事はなくなる可能性が高いのではないでしょうか。

    工場勤務者

    工場のライン作業は単純な作業も多く、ほぼマニュアル化されています。これも機械に取って代わられやすい仕事といえます。すでに自動車などの生産現場では、AIやロボットが導入されており、かなり機械化が進んでいる分野のひとつです。人間がライン作業でミスをすると、ライン全体に影響を与えることになります。ラインがストップし、生産性に影響を及ぼすこともまれではありません。そこで、AIやロボットを導入すれば、ミスなく短時間で作業を行えます。

    また、ライン作業は危険が伴うものであり、どの企業も社員の安全対策には多くのコストをかけています。AIやロボットが危険な作業を担えるのであれば、コスト削減にもつながりますし、社員の安全や健康も守れます。

    自動車製造などに代表されるライン作業は、顧客のニーズや新素材の到来などによりどんどん複雑化しています。そのため、人間の手作業では難しい部分もすでに出始めています。

    機械は一定のクオリティをを保ちながらミスなく作業をこなせることから、やはり今後は工場のライン作業でAIやロボットが活躍する機会が増えそうです。それにともない、工場勤務者の仕事は減っていく可能性が高いでしょう。

    タクシー運転手

    タクシー運転手も、今後なくなるといわれている仕事の1つです。これは、自動車の運転技術の開発が進みつつあること、政府もタクシー業界の人手不足などを背景として自動運転タクシーの導入を推進する方向であることが理由として挙げられます。

    自動運転技術については、米国自動車技術者協会(SAE)や国土交通省がレベル0からレベル5までの6段階に区分しています。レベル0は今と同じくドライバーが車を運転する状態を指し、レベル5は制限なく全ての運転操作が自動化されている状態を指します。

    現在日本では、レベル3の状態が許可され、実証実験が進められています。レベル3とは 「条件付自動運転車(限定領域)」の状態です。これは決められた条件下において全ての運転操作を自動化できます。ただし、これは運転自動の最中でもシステムからの要請があればドライバーはすぐに運転に戻れなければならなりません。つまり、ドライバーも完全に運転しなくてよいわけではないのです。また、自動運転の車はどこでも走ってよいわけでなく、許可を得たエリア内しか走行できません。

    政府・国土交通省・自動車メーカーは実証実験を重ねてこのレベルを段階的に引き上げ、近い将来にレベル5を達成することを目標としています。これが実現すれば、タクシーは全て自動運転化され、タクシー運転手はいなくなってしまうかもしれません。自動運転タクシーの実現はタクシー業界にとって人手不足の解消や危険運転に遭遇するリスクを回避するなどメリットが大きいと考えられています。

    しかし、タクシー業界は自らの仕事が奪われることへの懸念などを理由に、現在においても自動運転化に完全に賛成しているとは言い難い状態です。また、レベル5の自動運転を実現するためには法律や環境、制度などを整備する必要があるため、現時点では実現可能性はあまり高くないといえます。

    AI・ロボットが発達してもなくならない仕事

    それでは、ここからはこれまでとは反対に、AIやロボットが発達してもなくならないと考えられている仕事と、その理由をご紹介します。

    医者・看護師

    現在、医療の分野にAIやロボットをを導入する取り組みが活発に行われています。例えば、患者がAIからの質問に答えるだけで可能性の高い病気をピックアップして近隣の対応可能な病院を検索できる仕組みや、患者の状態や過去の論文からがんの診断を行うAIなどが検討されています。また、手術の分野では「ダ・ヴィンチ」を初めとする手術ロボットが、ケアの分野では看護師の代わりに病棟の巡回を行うロボット開発されています。

    そんな状況にも関わらず、医師や看護師はこれからもなくならないとの考えが根強くあります。それは、AIは計算と統計処理に特化した仕組みであり、ロボットは医療の特定の分野を担うものだからです。

    医療の現場では、医師や看護師は患者の状態や検査結果の数値だけではなく、患者の気持ちや意向をくみ取って業務を行っています。つまり、これからの医師や看護師には、AIやロボットが代替できない高度なコミュニケーション能力や読解力を求められるのです。

    AIは、患者の症状や検査結果、過去の論文などから病名や最適な治療法にたどり着くことは可能ですが、患者がその治療を受け入れたいか、受け入れたとしてもどんなことに苦痛を感じているかなどを理解するのは難しいです。この能力を磨き続けられる医師や看護師がいる限り、彼らの仕事はなくならないと考えられます。

    介護士

    介護の分野においてもロボットの開発が勧められています。たとえば介護者を車椅子からベッドに移すなど介護士の体に負担がかかる業務を行うロボットや、食事の介助を行うロボットです。確かに、危険かつ単純な作業はロボットの得意分野です。

    これらが導入されたとしても、介護士の仕事はなくならないでしょう。それは介護士は医師や看護師と同じく、介護者の気持ちやニーズを読み取り、高度なコニュニケーションを行うことが求められるからです。また、介護士は介護者の身体機能を保ち、回復させるだけでなく、楽しく前向きに日常生活を行えるようにする役割をになっています。

    そういった意味では、介護士や医師、看護師はサービス業やエンターテインメント業のような要素が求められます。これらの分野では、もちろん単純作業などはAIやロボットの介入の余地がありますが、人の気持ちやニーズに応えるといったことはまだまだ人間が行う必要がありそうです。また、日本は依然として超高齢化の状態が続いており、この傾向は今後も変わらない可能性が高いとされています。国内の高齢者人口も引き続き増加する見込みであるため、ニーズのある仕事といえます。

    営業職

    すでに、企業の営業分野ではRPAやOCR、SFAといったツールが導入され、業務効率化に対して成果を挙げています。

    RPAはRobotic Process Automationの略で、「ロボットによる過程の自動化」を意味します。ロボットにパソコン上で行われる一連の動作(シナリオと呼ばれる)を覚えさせ、実行することによって業務を自動化し、業務時間の削減や業務効率性の向上を図るツールです。

    OCRはOptical Character Reader/Recognitionの略で、「光学文字読み取り(認識)装置」を意味します。これは画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換するツールです。手書きの帳票などをデータ化し、デジタル処理や保管をするための装置です。最近ではこの装置にAIを組み合わせたAI-OCRも登場し、異なるフォーマットの帳票を同時に読み込ませたり、癖字や改行を読み込めるなどさらに精度が向上しています。

    SFAはSales Force Automationの略で、営業支援システムと訳されます。営業色の業務にはは、顧客リストの作成、テレアポ、書面の作成、情報発信、訪問商談、クレーム対応、既存顧客へのフォローと多岐にわたりますが、定型業務も数多く存在します。この部分を自動化するのがSFAです。例えば、顧客との商談記録や過去の購入履歴や照会内容などを自動的にデータ化し、顧客から連絡があったらその内容が自動的に呼び出され、チャットボットなどで対応できる部分においては自動的に返答するなどの仕組みを備えています。

    このように、営業分野ではすでにAIやロボットが業務のかなりの分野を担っています。それにも関わらず営業職がなくならないのは、顧客のニーズを引き出して商品やサービスを売るという特徴からです。

    顧客のニーズは複雑化しており、また近年は顧客が気づいていないけれども欲している、いわゆる潜在ニーズやインサイトと呼ばれるものを営業職がくみ取り、商品やサービスを提案することの重要性が問われています。これは、AIが容易に判断できるものではありません。なぜなら、これらは営業パーソンの高度なコミュニケーションによって引き出せるものだからです。

    RPAやOCRはあくまでそれぞれのツールの得意分野を担っているに過ぎず、営業職のノンコア業務を代替しているだけです。営業職のコア業務である商談やプレゼンテーションは、AIやロボットが対応できない分野であるといえます。

    コンサルタント

    コンサルタントは企業の課題を見つけ、それに対して解決策を提案する仕事です。経営や人事、新規戦略などの分野に対してアドバイスを行います。

    これらの分野には経済動向、顧客や学生、転職希望者の嗜好や価値観の変化、潜在ニーズなど数値で表しにくい条件が複雑に絡み合っています。そのため、AIやロボットでは対応が難しいといえます。

    カウンセラー

    心理カウンセラー・キャリアカウンセラーなどは、相手の悩みといった数値化されないものに寄り添い、解決策を示す職業です。クライアントは悩みを自覚していることもありますが、自分でもどんなことに悩んでいるのか分からないという状況も少なくありません。そんなクライアントの話から悩みやニーズを見出し、最適なソリューションを提供することは、AIやロボットには難しいでしょう。

    また、人は社会的生物であり、人との関わり合いの中で生きています。悩んでいる時や心が弱っている際には、AIやロボットでなく生身の人間に相談したい、コミュニケーションをとりたいと考えるのは本能的な欲求といっても過言ではありません。

    AIやロボットによって代替される仕事とそうでない仕事の特徴をまとめると、それぞれ以下のようになります。

    代替できる仕事まとめ

    • 単純作業
    • 業務プロセスがマニュアル化されており、誰でもできる仕事
    • 危険な作業
    • 人間の身体に負荷がかかるが、単純な作業

    なくならない仕事まとめ

    • 高度なコミュニケーションを必要とする仕事
    • (潜在的な)気持ちやニーズをくみ取る仕事
    • 数値化するのが難しい仕事
    • 複雑な条件が絡み合った中から最適なソリューションを導き出す仕事

    AI・ロボット時代で生き残るために

    冒頭でご紹介した「AIやロボットによって、10年後から20年後に今ある50%の仕事がなくなる」とする研究結果は、発表当時には衝撃を持って受け止められました。またその後、この内容をフォローする書籍や記事が相次いだため、「自分の仕事は将来AIに奪われる」「AIやロボットの普及で仕事がなくなったらどうしよう」と考える方も多いのではないでしょうか。

    しかし、上記でAIが代替できる仕事についている方もそうでない方も、諦めたり焦ったりするのは早いといえます。確かに、今後AIやロボットの精度はさらに向上し、ブルーカラーやホワイトカラーの区別なく、また業種を問わず多くの仕事がAIやロボットに置き換えられていくことでしょう。

    しかし、AIやロボットはあなたの仕事を完全には奪いません。なぜなら、AIの深層学習には限度があると考えられており、人間の気持ちや好みといった数値化できないものを捉え、分析することは苦手だからです。また、ロボットは特定の分野の特定の作業に特化したものであり、人間のように単独でで複数の作業を行うことはできません。

    ということは、AIやロボットは人間の仕事を奪うのではなく、AIやロボットに任せる仕事と人間が行う仕事を区別し、振り分けて共存していくことが重要なのです。AIは深層学習によって判断可能な分野で、ロボットは単純な業務や危険な業務において導入し、活躍してもらうことがポイントとなるでしょう。

    その際、人間はどんな仕事を行えばよいのでしょうか。それはやはり、先ほどAIになくならない仕事の特徴として挙げたように高度なコミュニケーションを必要とする業務や、潜在的な気持ちやニーズをくみ取る仕事、複雑な条件が絡み合っている中で判断を求められる仕事です。

    「自分は自動車向上で働いているから、ロボットが導入されたらやることがない」などと考える必要はありません。工場では作業効率を高めるため、常に業務改善が求められます。これはただ数値を上げればよいのではなく、そこで働く人がどんなことを考え、求めているのかを考慮しながら進めていかなければなりません。また、近年は業務におけるコミュニケーションの重要性が認識されているため、どんな仕事も完全にAIやロボットが代替できる可能性はまだそれほど高くはないでしょう。

    今はまだ導入されていなくても、人手不足の解消や業務効率化を目的として、あなたの職場にAIやロボットが導入される日もそう遠くないかもしれません。その際にはぜひ、共存できるように業務の振り分けを行い、人間は人間にしかできない業務を行いましょう。そうしてAiやロボットと共存しながら働くことが、楽しく気持ちよく働くことにつながるはずです。

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