取引先や品目、価格などが記載され、慎重に管理することが求められる請求書。業務の領域が広い経理・財務にとって手間のかかる請求書発送業務、受け取った後の支払い業務は、毎月発生するルーティン業務です。OCRを活用することで業務を簡略化できます。この記事ではOCRの基本と請求書管理への活用方法について、説明します。
- 公開日:
- カテゴリー:
- 知識
取引先や品目、価格などが記載され、慎重に管理することが求められる請求書。業務の領域が広い経理・財務にとって手間のかかる請求書発送業務、受け取った後の支払い業務は、毎月発生するルーティン業務です。OCRを活用することで業務を簡略化できます。この記事ではOCRの基本と請求書管理への活用方法について、説明します。
請求書への活用の前にOCRとはなにかを紹介します。OCRとは文書や画像をスキャンすることでテキストを読み取り、編集可能なデータにする技術です。近年では無料で使えるフリーのソフトから高価格・高精度のものまで様々なサービスを比較し、選べるようになりました。
OCRはリコージャパン(Ricoh)や富士ゼロックス(Xerox)やPFUやUiPathといったメーカーによって開発され、オンプレのWindowsパソコンだけでなく、スマートフォンやクラウド上でも使用できるようになっています。このようなOCRは様々な文書の読み取りに活用され、請求書管理や納品書管理といった仕訳業務にも活用され始めています。
ここからはOCRを活用して請求書管理を行う方法を作業フローを説明します。
まずは取り込みたい請求書データをOCRでスキャンしましょう。経理が活用できる具体的なOCRサービスとしてはOCRプラットフォームのReadsoft Invoicesやクラウド会計ソフトのfreee、AI・RPAソリューションのSuperStream-NX AI-OCR、RICOH Cloud OCR for 請求書などがあります。
次にOCRで読み取った請求書データの確認です。請求書には多種多様な文字データがあるとともに、独自の非定型帳票を用いて作成されている場合もあります。OCRで読み取りがうまくいかなかった部分については人の目で修正します。請求書の取り込みについて、100%をOCRで完結しようとするのではなく、経理業務におけるデータ抽出を効率化するイメージでOCRを活用するといいでしょう。
OCRで取り込んだデータの確認と修正が終わったら、請求書データの書き出しに移ります。書き出し後は元の請求書とOCRを経由したデータに誤りがないかを確認し、完了となります。
OCRでは文書の角度も含めて文字データを認識するため、OCRで請求書を読み取る際には、請求書を取り込む角度に注意が必要です。請求書がナナメになっているため、データを正しく認識できないとならないように、OCRで読み込む角度をチェックしてください。
OCRで請求書を読み取る際、最も成功しやすいのは白黒の文字で書かれた請求書です。カラーで書かれた請求書はOCRにとって読み取り困難な文書になります。OCRで請求書を読み取る際には白黒の文書、カラーの請求書は一度白黒にコピーしてから取り込むようにしましょう。
OCRで請求書読み取りをうまく行うためには、文字と文字の間に十分な間隔があるほうが望ましいです。間隔の詰まった文章は私たちにとっても読みにくいものです。OCRにとっても間隔のない請求書の文字は認識が難しいことを理解しておく必要があります。
OCRの請求書認識は読み取りを繰り返し、OCR内の辞書に文字データを蓄積していくことで精度を高めていきます。そのため、通常の文書で登場しない特殊文字はOCRでうまく認識されにくいものです。OCRは初めて読み込む特殊文字を文字データとして認識しようとしますので、特殊文字のある請求書は最初から読み取りデータを修正することを想定し、OCRを活用したほうがよいです。
上記4つのポイントを意識すれば、OCRで請求書読み取りを成功させやすくなります。OCRで請求書データをスキャンする際には、人の手をかけることで精度を上げていく必要があります。
OCRで紙の請求書を読み込むには2つの方法があります。1つ目は請求書を画像データとしてOCRで読み込む方法です。この方法の利点はスキャナーがなくても、スマホで写真を撮れれば簡単に請求書をOCRソフトで取り込めるところにあります。
画像データで請求書を読み込む際には、画像データの読み込みを得意とするエンジンを搭載したOCRソフトを選びましょう。
2つ目は、OCRでPDFデータ化された請求書を読み込む方法です。PDFデータでOCRを活用する利点は一度に大量の請求書を読み込めるところにあります。スキャナーがあり、これから紙の請求書を電子化したいという場合には、PDFデータで読み込んで使うOCRソフトで一気にまとめて請求書データを読み込むといいでしょう。
OCRで請求書を読み込む精度を上げるには、最初から完璧を期待せず、活用しながら精度を高めていく意識が大切です。そのために読み込んだ請求書データをしっかりと人の目で確認をし、認識に誤りが発見された場合にはその都度OCRソフトにその間違いを覚えさせていきましょう。
OCRは文字データを蓄積して精度を上げていくものですので、運用期間が長くなるほどどんどん効果が高まっていきます。
OCRはITツールの中でも近年目覚ましい進歩を遂げている技術です。なかには、業務効率化やペーパーレス化を促進するために、AIやRPAとパックになったサービスもあります。AIが搭載されたOCRでは、「OCR利用時の注意点」で解説したような紙の傾きや文字の感覚が多少荒くても自動的に修正してくれるサービスもあります。RPAとOCRを組み合わせることで、請求書のデータ化後に経理システムへの自動仕訳や自動転記も可能になります。OCRをうまく活用できれば、請求書管理などの事務業務に悩ませる人にとって頼もしい味方になるでしょう。
資料を無料でダウンロードいただけます。ぜひ、社内共有や業務改善にお役立て下さい!