業務におけるヒューマンエラーの原因と対策を徹底解説

業務の中でどれだけ注意して対策をしていても、ヒューマンエラーは起こってしまいます。 また現代では、IT化が進んだことで入力ミスや添付ファイルの間違いなどが起こる頻度も多くなりました。 これらはほんの少しの間違いでも、顧客情報の漏洩など、企業にとってとんでもないパニックや損失を引き起こす要因になりかねません。 そこで今回は、業務でヒューマンエラーが起こってしまう原因と予防対策を事例や具体例も含めて徹底解説します。 ヒューマンエラーの対策について悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

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目次

    ヒューマンエラーが起きてしまう原因

    なぜヒューマンエラーが発生してしまうのでしょうか?一言でヒューマンエラーと言ってもいろいろな種類があります。ここでは「見落とし」「判断ミス」「手順・方法を間違える」「慣れによるやり忘れ」の4つのケースに分けて、ヒューマンエラーが起きてしまう原因を解説します。

    見落とし

    代表的なヒューマンエラーとしてまず挙げられるのは、意図せずにうっかりやってしまう、予定やルール、業務フローなどの見落としです。

    「昼休みに外出して、社内に戻ったら昼休み後に会議があることを忘れていた」「クライアントからの重要なメールを見落としていた」「長時間同じ作業をしていたら、手順を飛ばしてしまった」などのミスが挙げられます。

    これらのヒューマンエラーは特に疲労が溜まっていたり、注意力が欠けていたりすると起きやすくなります。このようなミスを防ぐには「自分はミスをしているかもしれない」と意識して見直すように習慣づけることが大切です。

    判断ミス

    人は自らの経験や知識をもとに判断するため、先入観や思い込みにとらわれて判断ミスをしてしまうことがあります。

    例えば、「期限は◯日だと思っていた」「デザインの品質確認は終えたはずだった」という勘違いも判断ミスに含まれます。本来であれば特に問題がない作業でも、環境の変化によって判断ミスが発生してしまうこともあるでしょう。

    知識や経験が不足していると、直感で判断してしまいがちですが、その判断がいつも正しいとは限りません。分からないことは確認してから業務を進めるようにしたり、業務を進める中で疑問があったら質問や報告をしたりするなど、部署内できちんとコミュニケーションをとることが判断ミスの防止につながります。

    また、判断基準を明確にしたり、マニュアルにそって作業する習慣をつけたりすることも判断ミスを防ぐのにおすすめです。

    手順・方法を間違える

    業務プロセスが複雑な場合は現状の把握がしづらく、先の予測がしづらいため、手順や方法を間違える可能性があります。他にも疲労が溜まっていたり、新しい仕事や部署へ移動したばかりだったりするなど、個人を取り巻く環境にも大きく左右されます。

    この場合、複雑なプロセスを簡潔にして、対象を認知しやすく工夫すると良いでしょう。また複数の作業を同時に着手するのではなく、チェックリストを活用しながら、一つずつ作業を進めるようにするのも有効です。

    慣れによるやり忘れ

    慣れによって気が緩むと、やり忘れなどのヒューマンエラーが起こってしまうことがあります。また気が緩んで注意力が低下した時だけでなく、作業の慣れにより業務手順が自己流になっている場合にもやり忘れは発生してしまいます。

    例えば「工場にある機械の引き取り連絡を運送業者にするべきだった」「経理事務担当者へのクライアントの締め日伝達が漏れてしまった」「教育研修日程を誤って通達してしまった」というようなヒューマンエラーは慣れにより起こりやすいです。

    さらに、業務に慣れてくると危険を軽視して確認を怠るケースもあるかもしれません。しかし、これは大きなエラーにつながる恐れがあるため、注意しましょう。特に、特定の担当者に業務を任せっきりにしている場合、業務の属人化が進みます。これにより、ブラックボックス化した業務で担当者が自己判断で業務を進めた結果、問題が大きくなってから発覚するということも起こりかねません。

    慣れによるやり忘れを防ぐには、業務プロセスを可視化することがおすすめです。業務の進捗を共有できれば、部署内でフォローし合える体制が整い、ヒューマンエラーの防止に役立つでしょう。

    ヒューマンエラーを防止する考え方

    ヒューマンエラーが発生してしまう原因を前述しましたが、いくらヒューマンエラーが起こらないように、対策を練ってもゼロにすることは不可能です。人が対応している限り、いくら細心の注意を払ってもミスは起こってしまうものです。

    ヒューマンエラーはよくスイスチーズに例えられます。スイスチーズの特徴と言えば、大小さまざまな穴がありますよね。このスイスチーズの穴をヒューマンエラーが起きやすい部分に例えて考えてみましょう。

    例えば、スイスチーズの穴を貫通してしまうと、トラブルや事故に発展してしまいます。逆に、貫通を防ぐためにスライスしたチーズを複数枚重ねると穴を塞ぐことができるでしょう。このように穴を塞ぐことでトラブルや事故を防止するのです。

    ただ、どれだけ防御しても偶然穴ができてしまうことがあります。要するに、ヒューマンエラーは必ず起きてしまうものだということも認識しておきましょう。

    この考え方はイギリスの心理学者ジェームズ・リーズンによって提唱された「スイスチーズモデル」というものです。スイスチーズモデルは、医療現場や製造業、建設業などヒューマンエラーが起きやすい現場で広く採用されています。

    このようにヒューマンエラーを完全に無くすことはできませんが、ヒューマンエラーの再発を防ぎ、対策を練ることはできます。そこでここでは、社内業務でヒューマンエラーを防ぐために大切な考え方をご紹介します。

    未然に防ぐ

    人による手作業を可能な限り減らすことで、ヒューマンエラーを未然に防げるようになります。ヒューマンエラーを引き起こす可能性が高い業務を分類し、その業務自体をなくしてしまうのです。このような考え方を「機会最小」と言います。しかし、業務自体をなくすのは、なかなか難しいものです。

    そのため、マニュアルや業務フローを見直し、無駄な作業を省いていきましょう。そして、手順が決まっている単純な定型作業や膨大な情報処理作業などに、ロボットで定型業務を自動化できる「RPAツール」を活用するのがおすすめです。

    RPAツールを導入すれば、データ入力や転機作業、請求書や経費の処理、データ収集など、パソコン上で行うさまざまな業務をミスなく正確に進められるようになります。RPAツールはロボットなので疲労することなく24時間360日稼働できます。そのため、ヒューマンエラーがなくなるだけでなく、業務の効率化にもつながるでしょう。

    この考え方は、日常生活でも同じことが言えます。例えば、注意して自動車を運転していても、ヒヤッとする場面は起きてしまいますよね。また、交通事故が起こる原因として多くの場合、ヒューマンエラーによるものであると言われています。しかし近い未来、自動運転が進むことで人による運転動作の頻度が減り、ヒューマンエラーによる事故は減るだろうと分析され期待されてるのです。

    社内業務においても、可能な限りヒューマンエラーを起こしてしまう業務を減らし、業務の自動化を図ることでヒューマンエラーを回避するという考え方です。

    業務を分かりやすくする

    ヒューマンエラーは、状況を判断しづらい場合や操作性が悪い場合に起こりやすくなります。そのため、業務を分かりやすく整理することが大切です。誤った判断をしないように環境を整えることで、ヒューマンエラーを防ぐという考え方です。

    具体的な業務を分かりやすくする方法は、業務手順を見直しながら無駄を省き、マニュアルを作成すると良いです。また業務の改善だけでなく、掃除や整理整頓といった労働環境を整えることも大切です。

    自ら気づく

    自分が行った作業や業務に間違いがないかを確認することも大切ですが、自ら気づく仕組みを作ることでさらにヒューマンエラーを防止できるようになります。

    自らミスに気づく方法として、第三者によるダブルチェックが効果的です。ただしダブルチェック前提であったとしても、作業担当者は万全を期する状態でダブルチェックを依頼するようにしましょう。

    「ダブルチェックがあるからこれくらいでいいかな」という状態でダブルチェック担当者に引き継いでしまっては、第三者に確認してもらう意味がありません。ダブルチェックは「間違いがないかを念のため確認してもらう」という位置づけであることに注意しましょう。

    ダブルチェックとあわせておすすめしたいのが「ヒヤリハット活動」です。ヒヤリハット活動とは、業務担当者が「ヒヤリとした体験」や「ハッとした体験」を共有して、どのような場面でヒューマンエラーが起こるのかを把握することでミスを未然に防ぐ活動です。

    「ヒヤリとしたこと」「ハッとしたこと」など、ヒヤリハット(無傷事故)の事例を収集する際には、できるだけ従業員に負担がかからない方法で行うのがおすすめです。例えば、報告書にまとめて提出してもらうのではなく、部署で使用している連絡帳に記載してもらったり、付箋に書いて掲示板に貼ってもらったりしてもらえば、時間をかけずに簡単にできるので、ヒヤリハットを体験した時にすぐに事例を共有できるでしょう。

    能力を持たせる

    「能力を持たせる」とは、リスクを予測する能力を身につけることを意味します。日頃からリスクを予測しながら業務に取り組むことで、トラブルや事故につながりそうなリスクを発見した際に未然に防げるようになります。

    「能力」というと技術的なことを思い浮かべるかもしれませんが、ここでの能力は「リスクの影響を正しく理解し、対処する力」を高めることも含みます。

    この能力を向上させるには、リスクを予測するトレーニングや研修を定期的に行うのが有効です。この時「どのような行動で、どのようなミスが起こるのか」「そのミスによって、どのような損害が起きる可能性があるのか」など、具体的に伝えるとヒューマンエラー防止対策の重要性を従業員に理解してもらえるでしょう。

    前述したヒヤリハット活動で従業員から事例を集めると、小さなミスから重大なトラブルや事故につながる可能性があるものまで、さまざまなリスクが洗い出されるでしょう。これらの情報を活用することで、より具体的で実践的なトレーニングや研修の実施が可能となります。

    ヒューマンエラーを防ぐ効果的な方法

    ヒューマンエラーは注意や対策していてもゼロにすることはできません。そのため、より防止できる方法を見いだし対策していくことが重要です。では、具体的にどのような対策をしたら良いのでしょうか?最後にヒューマンエラーの防止対策についてお伝えします。

    マニュアルを作成しルールを設ける

    ヒューマンエラーの防止に有効な対策として、マニュアル作成が挙げられます。マニュアル作成ができたら複数人で内容を確認しましょう。またマニュアル作成にルールを設けることも重要です。

    例えば、誰がマニュアルをアップデートするのか、Wordやエクセル、PDFなどマニュアルのファイル形式はどうするのか、マニュアルはどのように共有するのかなどのルールを設けておくと安心です。

    変更点や業務フローが少しでも変わる時は、忘れることなくマニュアルをアップデートし共有しましょう。

    マニュアルに記載漏れや分かりにくい内容があっては、マニュアル作成の意味がありません。マニュアルは、誰が見ても分かりやすい内容であることが大切です。そして、業務の属人化が起こらないようにマニュアルを作ることも、ヒューマンエラーを防ぐ上で重要です。

    マニュアル作成の他にも、前章でご紹介したヒューマンエラーになる一歩手前の出来事を指す「ヒヤリハット」と言われるものがあります。医療現場や製造業など、ヒューマンエラーが起こりやすい業界では、ヒヤリハット事例をお互い共有して事故やミスに繋がらないようにしています。マニュアルを作成するだけでなく、ヒヤリハット事例を共有する仕組みを作ることでリスクを認知できるようになり、ヒューマンエラーの防止に役立つでしょう。

    チェックリストを作成し複数人でチェックする

    チェックリストを作成し、複数人でダブルチェックすることでヒューマンエラーを防ぐ対策になります。

    ミスしやすい点をチェック項目に記載するのはもちろんのこと、作業の中で漏れてはいけない部分も、もれなくチェック項目に入れるようにしましょう。

    しかし、チェック項目が多すぎると確認作業が煩わしくなって省略してしまうケースが出てくる可能性もあります。チェックリストを作成する際は、確認すべきポイントを見極め、シンプルで使いやすくしましょう。上から順番に確認できるようにするなど、リストに記載する順番を工夫するのもおすすめです。

    また、作業担当者とチェック担当者で確認する項目を変更したり、チェック項目の順番を変えたりすることでミスの発見につながることもあります。さらに、チェックリストに作業担当者とチェック担当者がサインをする項目を作るなど、業務の進捗を可視化しておくと、ダブルチェック作業が円滑に進むので良いでしょう。

    RPAツールを導入し定型・反復業務を自動化する

    RPAツールなどの自動化ツールを導入するのも一つの方法です。ヒューマンエラーを引き起こしやすい要因の一つとして定型業務が挙げられます。人間は、長時間単調な作業を繰り返していると、慣れや脳・身体の疲れからミスを起こしてしまいます。どれだけ注意しても、体調や職場環境の変化、コンディションなどの理由からヒューマンエラーになるのです。

    その点、RPAツールは一定のルールで決められた作業や反復業務を得意とします。RPAツールは設定されたシナリオにそって正確に作業を行うため、ヒューマンエラーを大幅に減らすことが可能です。また、RPAツールはロボットが業務を行うので、長時間作業をしても疲れることなく24時間365日、同じペースで稼働できます。これにより、ヒューマンエラーを削減するだけでなく、業務の効率化も見込めるでしょう。

    さらにRPAツールを導入することで、人件費などのコストカットや、定型業務から解放されてコア業務へ注力できるようになるなど他にも多数のメリットがあります。RPAツールで定型業務などを自動化し、ヒューマンエラーを防ぐ対策に役立ててみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    社内業務におけるヒューマンエラーの原因と対策を解説しました。ヒューマンエラーはどれだけ気をつけていてもゼロにすることはできません。

    ただ事前にヒューマンエラーを予防することはできます。ヒューマンエラーの中でも「見落とし」「判断ミス」「手順・方法を間違える」「慣れによるやり忘れ」など、原因はさまざまです。ヒューマンエラーがなぜ起きてしまうのかを認識し、防止対策を実施しましょう。

    ヒューマンエラーの防止対策を練る際は、ミスを未然に防げるように、ヒューマンエラーを起こしてしまいそうな業務を減らすことが有効です。ヒューマンエラーが起こりやすい定型業務をRPAツールに任せるというのも一つの手でしょう。RPAツールは設定されたシナリオにそって、正確に業務をこなすので、ヒューマンエラーの大幅な削減に役立ちます。

    また、業務手順を見直しながら無駄を省いてマニュアルを作成し、業務を分かりやすくすることも大切です。さらに、ダブルチェックで自らミスに気づける体制を整えたり、ヒヤリハット活動やトレーニングでリスクを予測する力を高めたりするなど、日頃からミスが起こりにくいように環境や業務フローを整備していくことが必要であると言えます。

    本記事でご紹介した、マニュアルを作成するポイントやダブルチェックのポイント、RPAで自動化するメリットを参考にしながら、ぜひ自社のヒューマンエラー対策に取り組んでみてください。

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